

「認知症は精神疾患なのですか?」
訪問看護や介護の現場で、ご家族や支援者の方からよくいただく質問の一つです。
結論から言うと、
認知症は脳の病気による『神経認知障害』ですが、
精神症状を伴う場合は精神科医療の対象となります。
今回は、認知症と精神疾患の関係について分かりやすく解説します。
目次
認知症とは、脳の病気によって記憶力や判断力などの認知機能が低下し、
日常生活に支障が生じる状態をいいます。
主な原因疾患には、
などがあります。
実は、どの分類基準を使うかによって考え方が異なります。
現在、日本の医療制度や診療報酬で広く使われているICD-10では、
認知症は「精神および行動の障害(Fコード)」に分類されています。
主なコードは以下の通りです。
そのため、制度上は精神障害として扱われる場面があります。
一方、近年の国際的な考え方では認知症は精神疾患とは区別されています。
現在の診断基準であるDSM-5やICD-11では、
認知症=神経認知障害(Neurocognitive Disorder)
として位置づけられています。
つまり、
などの精神疾患とは異なり、
「脳の変化によって生じる認知機能障害」
として理解されています。
認知症の方には、認知機能低下だけでなく様々な精神症状が現れることがあります。
これを
BPSD(認知症の行動・心理症状)
と呼びます。
例えば、
などです。
これらの症状によって本人や家族の負担が大きくなるため、
精神科医療や精神科訪問看護が必要になることがあります。
認知症に精神症状が伴う場合、以下のような診断名が併記されることがあります。
急激な意識障害や夜間不穏、幻覚などがみられる状態です。
認知症に伴う被害妄想や物盗られ妄想などがみられる場合があります。
抑うつ気分や意欲低下などが目立つ場合に用いられます。
強い不安や落ち着きのなさが続く場合に診断されることがあります。
認知症にうつ状態を合併しているケースです。
認知症とは別に不安症状が強い場合に用いられることがあります。
認知症の方への訪問看護では、
などを行います。
特にご家族は、
「何度も同じことを聞かれる」
「妄想への対応が分からない」
「昼夜逆転で眠れない」
といった悩みを抱えやすく、家族支援も非常に重要です。
認知症は単なる物忘れではなく、脳の病気によって起こる神経認知障害です。
現在の国際的な考え方では精神疾患とは区別されていますが、幻覚や妄想、不安、抑うつなどの精神症状を伴う場合は精神科医療の対象となります。
認知症の方ご本人だけでなく、ご家族の負担軽減のためにも、早めに専門職へ相談することが大切です。
認知症や精神症状への対応でお困りの際は、お気軽にご相談ください